●オーシャンカラーシーンを聴きながら・・・

『ペンザンス』のB&Bです。小ぢんまりとしてとてもキレイです。結構居心地が良くて、1週間以上滞在しました。僕はトマトがダメなので、初日の朝食で残してしまったのですが、なかなか気の利くホストマザーさんで、2日目からはトマト抜きのイングリッシュ・ブレックファーストを出してくれました。


『The Minack Theatre(ミナック劇場)』です『ペンザンス』をご存知無い方もこの名前は聞いた事があるのでは?ロウィーナーケイド1人でこの美しい海を見下ろす石畳の劇場を造ったのは有名な話。1932年より公演された作品名が石畳に刻まれています。勿論、過去にはシェークスピアも公演されています。『ペンザンス』より約9マイル、美し過ぎて悲しくなってしまう場所…

思えば僕は『オーシャンカラーシーン』の音楽に何度となく支えられて来ました。何を隠そう(隠す程のものではないですが)僕は99年に仕事を含めた色々な悩みやがピークに達して半年程仕事を休んでいた事があります。人と話をするのさえイヤになり、電話が鳴る音にさえナーバスになっていました。このまま他人と接していると、自殺しかない(マジで当時は究極の答も真剣に考えました)とまで追い込まれ、結局、逃げるように日本を後にして、当分の間レンタカーを借りてイギリス国内をブラブラとしていました。今考えても殆ど記憶が無い位、刺激の無い毎日でした。(今考えればですが…)
ボケーとしたままアテも無く色々な街を点々として最後にたどりついたのが、イギリス最果ての地『ランズエンド』です。地図で説明しますと、左端の1番下の部分で、もうこれ以上は行く場所が無いというイギリス最南西端です。天気の良い日はシリー諸島なんかも見える所です。レジャーランドのような場所になっていますが、宿泊施設も少なく日本人など皆無な場所です。ここのカフェで疲れた顔をしてミルクを一杯入れた『アールグレー』をチビチビとすする日本人なんて、イギリス人にはどう写ったのでしょうか?…
『ペンザンス』の街中です。絵に描いたようなキレイな街です。落ち込んだ時に海を眺めるには最高の場所です。お疲れの方、1度行ってみては?
実際にこの周辺で宿泊する場合、もうひとつ手前の街『ペンザンス』まで戻るのが最良の方法です。観光地でも無く本当に小さな漁師町なので、B&Bは容易に捜す事が出来ます。
勿論、クレジットカードなど使用出来るハズもないのですが、海辺のキレイなB&Bでも£15位で宿泊可能なのです。驚く事にロンドンの4分の1位の宿泊費で済むのです。
この『ペンザンス』は小さな街ですが、それなりのCDショップとかもあります。この街に来て、3日目の夕方だったかな?ふら〜っとそのCDショップに入ったら、発売したばかりの『オーシャンカラーシーン』の4枚目のアルバム『ONE FROM THE MODERN』のディスプレイが目にとまり、今までのアルバムも全て揃えていたオーシャンフリークの僕は、迷わず購入しました。
で、聞いてビックリ!キレイなメロディとブリッド独特のグルーブ感、聞けば聞く程元気が出て来て、遠いイギリスの果てまで来て落ち込んでいる自分自身が恥ずかしくなって来ました。中でも力強い『PROFIT IN PEACE』と独特の美しいメロの『JULY』は何度も何度も聞き返しました。結局最後には、日本に戻って頑張ろう!溜まりに溜まったレストアの仕事を片付けよう!プロがプロである意味をもう1度考えよう!って思い直して、帰国した事があります。もしあの時、『ペンザンス』で『ONE FROM THE MODERN』に出会わなかったら・・・って思うと少し怖くなる事がある位です。
音楽が人を支えたりする事が多々あります。僕にとってのこのアルバムは、その最たる物です。年輩の方がよく言いますよネ、『BEATLESと同じ年代に生きる事が出来て良かった』って、でも僕は胸を張って言えます。『オーシャンカラーシーンと同じ年代に生きる事が出来て幸せ』だと、そして『ランブレッタに乗っていて良かった』ってネ!
 

          →つづき

『ペンザンス』には聖マウント・マイケルと言う島があり、以前はベネティクト会の修道院が建てられていました。海岸から300m位の場所にあり、夏季のみフェリーが運航していますが、干潮時は歩いて渡る事も出来ます。イギリス版“モン・サン・ミッシェル”と言ったところです。


『St.Ives(聖アイヴス)』です。『ペンザンス』から約20分の場所にある美しい街です。芸術家も多い街としても有名です。空も海も最高に青く、ここもまた美し過ぎて悲しくなってしまう場所