●100年目のエピローグ バルセロナ
『カサ・ミラ』この建物は1906年から1912年にかけて建築されました。当時は『いくらなんでも…』 ってかなり非難されたそうです。(分からんでもないですな)特に屋上は遊園地さながらです(笑)。でも、こんなモノを100年も前に造る事自体が驚きですね。階段も鋳鉄を使用した何とも言えない『鉄なのに柔らかい』装飾がほどこされて、『ガウディ』ならではの、温かみのある施工を鑑賞する事が出来ます。彼自身、この邸宅のデザインは『モンジュイック山』からインスピレーションを受けて製作したそうですが、当時は“アバンギャルド”としか思われなかったそうです。そんな『カサ・ミラ』も今では『カタルーニャ・モダニズム』の最高傑作として評されています。


『カサ・カルベット』1898年〜1899年にかけて建築された物です。『えっ、これがガウディなの?』って感じの渋い建物です。それでも完成時は見事、第一回バルセロナ市建築賞に輝いています。ネオ・ゴシック調のバルコニーが素敵ですね。『ガウディ』って、本当に引き出しの多い芸術家ですね。


『カサ・カルベット』を探してウロウロ…。困ってブティックに聞きに入ると、そこにはキレイなおね〜さんがいて、親切に場所を教えてくれました。とっても素敵な方だったので、お願いして1枚撮らせて頂きました。スペインの女性は本当に笑顔がイイですね。


バルセロナで見たVESPAの中で最高に不思議な1台をご紹介しましょう!スモール・フレームなのにメーターはGS系、プリマベラのように3角センターマットがありますが、左リア部分に小物入れがありません。そして形の良いフロントボックスは純正仕様のようです。更に75のフロント流れ文字バッヂにシェルホーンを搭載!後部のタイヤホルダーも純正のようで、旧デザインのダルマテールが付いています。何と!驚く事に同じモデルを結構バルセロナ市内で見ましたよ。当然の事ながらピアジオ製ではなく、スペインはMOTO VESPAによるライセンス生産車です。日本に帰ってからも、ど〜してもこのモデルが気になり、結局1台コレクションとして購入してしまいました。スモールのレストアラーとしては当然です(笑)
これは『ガウディ』の建築した『カサ・ミラ』の屋上です。顔のように見えますが、オブジェではなく、れっきとした煙突です。1912年にこんな建物を建てるなんて…熱い男だぜ!『ガウディ』は…。

 スペインが生んだ偉大なる天才建築家『ガウディ』の名前は皆さんご存知ですよね? ここで少しですが彼についてご紹介しましょう。本名『アントニオ・ガウディ・イ・コルネット』。1852年6月25日バルセロナから110kmほど離れた『レウス』と言う町で生まれました。彼の家は代々銅板器具の職人の家系だったそうで、彼の作品に良く見られる鉄なのに柔らかい曲面は、脈々と受け継がれたガウディ家のDNAによるところも大きいのではないでしょうか?

 青年時代の『ガウディ』は建築学校に入学しますが、成績はお世辞にも良くなかったそうです。まぁ、かの有名な『エジソン』でさえ、学生時代の成績は最悪だったそうで、『学業優秀=立派な社会人』って言う構図は絶対に当てはまらない最たる例ですね。そんな『ガウディ』のデビューは、かの有名な『パリ万博』なのです。注文主から彼への依頼は『パリ万博にふさわしい、人目をひくショーケースのデザインを』との事…。彼は見事にオーダーに答え、わずか60cm四方のスペースだったにもかかわらず、当時のマスコミをはじめ、各方面から大絶賛を浴びる作品を製作したそうです。このショーケースの“グッジョブ”が実業家『グエル』の目に止まり、
『ガウディ』のスポンサー(パトロン)として全面的にバックアップして行く事になる訳です。かの有名な『グエル邸』や『グエル公園』を『ガウディ』が手がけて行く事になるきっかけは、こんな事からだったのです。

『サグラダ・ファミリア』の特徴的な煙突状の中味は…な、な、なんと!まるで巻貝のような“らせん階段”になっているのです。知らなかったでしょ!ただ、もの凄く狭いので、閉所恐怖症の方にはお薦め出来ませんね。僕の前にミニスカートのおね〜ちゃんが登っていたのがせめてもの(実は最高)救いでしたが…。思わずテール・トゥ・ノーズになりました。(笑)

 さて、かの有名な『サグラダ・ファミリア=聖家族教会』ですが、建築が開始されたのが1882年です。『ガウディ』がこの『サグラダ・ファミリア』の建築を引き受けたのが翌年の1883年、彼が31歳の時だと言われています。その後、彼は聖家族教会に永久就職して、結婚もせずに一生をこの教会に捧げ、晩年は世俗とも一切の交流を断ち、仙人のような生活をしていたそうです。そんな逸話から、彼は一生を建築芸術に捧げた人と思われがちですが、若い頃には恋もしたそうです。しかし、いつも片思いに悩むシャイな人だったようで、あれだけ大胆かつ繊細な芸術を造りだす天才なのに、何だか不思議でしょ?晩年、彼は『自分には結婚する資質が無かった』と言っていますが、資質という言葉には『天命』と言う意味もあります。自分は結婚には縁がない『天命』だったと言う事が言いたかったのでしょうか?もっとも、彼『ガウディ』にとっての『天命』とは『神の家の建築家』としての人生だったのかも?しれませんね。

『グエル公園』
“バルセロナの顔”と言っても過言ではない超クリエイティブ公園です。えっ!本当に公園なの?って感じですよ。まるでアミューズメントです!
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 また、これだけ華やかな経歴の『ガウディ』も最期はあっけないものでした。1926年6月7日、交差点を横断していて路面電車にはねられ、ソレが元で3日後の6月10日に息をひきとったそうです。73歳でした。事故当時、誰も『ガウディ』とは気が付かず、ホームレスが事故にあったとしか思わなかったそうです。それだけ彼が晩年はつつましい生活をしていたと言う事になるのでしょうね。彼の葬儀は遺言に従って簡素に行なわれたそうですが、バルセロナ市民の葬儀への参列は延々と続いたそうです。彼がいかに市民に愛されていたという事が伺い知れますね。

 いかがでしたか?『ガウディ』って不思議な人でしょ。
銅板器具の職人の家に生まれ、学生時代は劣等生、いきなりパリでデビューして売れっ子になり、カタルーニャ・モダニズムの先駆者として大活躍。かと思えば、恋には全くシャイな“ダメ兄〜ちゃん”。晩年は仙人のような生活をしつつ、後世には『サグラダ・ファミリア』の図面も構想も一切残さずにいきなり路面電車にはねられて逝ってしまう…訳が分からんでしょ!天才とはこんなモンなんでしょうね…。

 ところで『ガウディ』以外にもバルセロナは魅力満載です!続いてはちょっと『ガウディ』以外のバルセロナも、ほんの少しですがご案内する事にしましょう。

          

           つづく→

『サグラダ・ファミリア=聖家族教会』1882年に建造が始まり、今もまだ造り続けています。当分出来ないようですよ、完成は僕達の孫に見に行ってもらいましょう(笑)。完成すれば、イエスと聖母をあらわす170mと150mの塔を中心に『イエスの降誕』『受難』『栄光』からなる3つのファザード、その上の12使徒を意味する4基ずつの塔、それに福音家に捧げる4基の塔からなる記念碑的な教会になるって“パンフレット”に書いてあった(笑)…。何の事だか、そのまま読んでもサッパリ分からんです。まぁ、意味は分からなくても、ファザードの美しさだけは理解出来ます。いかがですか?本当に美しいでしょ!


『カサ・バトリョ』1904年〜1906年にかけて施工された物です。当時、『グエル家』と並ぶ富豪だった『バトリョ家』が、1877年に建てた建物の増改築として『ガウディ』に依頼した物です。この増改築は『カサ・ミラ』のオーナーの薦めによるものとの事、このオーダーを快諾した『ガウディ』は海をテーマに製作をしたそうです。その為、正面のファザードは波打ち、壁に張られたブルーのタイルはまるで海面を思わせるようにきらめいています。さらに、屋根のイメージはカタルーニャの守護神、聖ホヘルの龍をイメージしています。そして、柱の一本一本はまるで骨のような無骨なデザインなのです。不思議な建物ですが、何故かバランスが素晴らしいのは天才の仕事だからとしか言いようがありませんね。


『カサ・ビセンス』1883年〜1888年に建築された、『ガウディ』の記念すべき処女作です。タイル張りが素敵でしょ。それもそのハズ、ここの施工主がタイル業者だったとの事(大笑)…。この建物は当時流行していたネオ・アルハンブラ(アルハンブラ宮殿摸倣)と、ネオ・ムーデンハル(キリスト建築+イスラム様式が融合したスペイン独自の建築様式)の影響を色濃く受けています。この『ガウディ』の処女作によって、モデルニズモ建築が誕生したと言う説もあるくらい…ホント、美しい建物でしたよ。


豆のように小さな犬を連れたご年輩の女性…なんか、ほのぼのしますね。犬とおば〜さんの構図は万国共通かな?以上、『ガウディ』の町のおば〜さんでした…