●007 黄金銃を持つ男

撮影場所の『カオ・ビンガー島』へ行く為の船が出港する『バンガー湾』の『クラフト・ターミナル』です。ロングテールボートと呼ばれる船で、現地まで45分のクルーズ?です・・・
おっとっと、クルーズって感じの船では無いですネ。ご覧のとおり、手漕ぎボートにエンジンが付いたプラモデル(笑)のような船です。乗る直前、この船を見た時、泳げない僕は正直怖かった・・(苦笑)



『ブリット・エイクランド』が演じるのは、『ジェームス・ボンド』をサポートする(足を引っ張る?)イギリスの諜報部員『メアリー・グッドナイト』役です。今回はこのスウェーデン出身のブロンド美人が『ボンドガール』になる訳ですが・・・ただただマヌケな事ばかりして『ボンド』の足を引っ張るだけ!もし本当にイギリス諜報部にこんな奴がいたら天下の大英帝国も滅んでいる事でしょう。役どころとしては、マヌケなだけではなく、すぐに『ボンド』とSEXをしたがるヤリマン女と言う痛い設定です。
ちなみに当時、私生活の方でも『ピーター・セラーズ』と離婚後、『暴露本』を書いて話題になっていたので、ケツの軽いマヌケな女と言う『ボンド・ガール』のイメージにハマったのかも?しれないですね。
ともあれこの映画の唯一の救いは、意味も無く三角ビキニになってくれると言う演出点。
明らかに男性客の動員を狙ったものですね。ブロンド+ビキニ+ヤリマン=男の憧れ?のような方程式が成り立ちますが・・・(笑)
でも彼女の存在がこの『黄金銃を持つ男』を一層チープにしているのは否めない事実ですね。



ロングテールボート内部からの様子です。大人二人が座ればその列は『満席』!風もガンガン吹き抜けで入って来ます。まさしく大海の中の木の葉状態!怖いけど、その反面に面白いと言うのも本音です。
なかなか日本ではこんな経験は出来ませんから・・・



この辺りはマングローブの木が群生しています。TVとかでは見た事がありますが、本物を間近で見たのは初めてで、とても、感動しました。船頭さんも気の利く人で、写真を撮っていると、多少、船の速度を落としてくれます。・・・が速度が落ちる度に『エンジンのトラブルか?』とビビる自分の小ささが悲しい(笑)



映画の中でも見る事が出来ますが、この『バンガー湾』内では不思議な形の岩状=奇岩の島が多く、その数は数え切れない位・・・マングローブと奇岩の島に囲まれた不思議な光景です。コレばかりは直接見ないと、なかなか良い表現方法が無いです。もし映画を見る機会があれば、これらのロケーションも是非チェックして見て下さい。



は無類のイギリス好き、このホームページ内にもそれが高じてイギリス国内にガレージを借りてしまった事はすでにお伝えしていると思います。

イギリスのイメージ=まず〜いメシ、ボリュームの有る朝食(イングリッシュ・ブレックファースト)、曇り空・・・と、渡英経験が無くユニオン・ジャックに憧れている人達にも、断片的には想像がつくと思います。

そんな中でも、やはりイギリスのイメージで一番強烈なのが『BEATLES』だと思います。そして多くの人が『007=ジェームス・ボンド』も想像すると思います。ご他聞にもれず、イギリスが大好きな僕は『BEATLES』と『007』の大ファン!今回は『プーケット』に行った際、『007黄金銃を持つ男』の撮影場所に使われた、バンガー湾内の『カオ・ピンガー島=Koh Khao Ping Kan』まで足を伸ばしましたので、皆さんにご紹介致したいと思います。

映画のストーリーと解説(1)

 この『007黄金銃を持つ男』はシリーズの中でも最も最低&最悪の内容と言われています。前作、シリーズ八作目の『死ぬのは奴らだ』では、華々しく『ボンド』役でデビューした『ロジャー・ムーア』を盛り立てるかのように、内容も良く練ってあり、音楽も『ポール・マッカートニー』と『ジョージ・マーティン』を起用する程の力の入れようでした。結果、関係者の評価も上々で、興行的にも成功しました。
ただ・・・今回ご紹介する九作目の『黄金銃を持つ男』はその反対!映画のストーリーもあって無いようなモノで、ひねりの無い単純な内容に小学生が思い付きで言った事を無理やりストーリーに組み込んだような感じのお粗末な作品です。結果、興行成績も最悪でした。
ですから解説も大変に難しく、話の内容がつかみきれないかも?しれません。是非、その辺りは、本当に映画をご覧になり、その“ダメダメ度”を感じて下さい。(笑)

さて、ストーリーの方ですが・・・

我らが『ジェームス・ボンド』宛に『フランシスコ・スカラマンガ』と言うプロの殺し屋から黄金の弾丸が届く・・・この殺し屋『スカラマンガ』は『ボンド』をリスペクトしながらも、いつかは『ボンド』を殺して世界一のスナイパーの称号を得ようと企てている悪い奴・・・

その『スカラマンガ』の送って来た黄金の弾丸を追って『ボンド』が一路、『香港』そして『バンコク』へ・・・と言うストーリーです。更に都合良く、『ボンド』が以前から行方を捜していた、太陽を利用した破壊兵器『ソレックス・アジテイター』も『スカラマンガ』が隠し持っていると言う、2時間でストーリーを完結させる為に、大変に都合良く、そして分かり易く展開する内容になっています。最近の映画のように三部完結のロールプレーイング系のような複雑さはなく、おバカちゃんでも理解出来る内容です。

ただ、『これはコメディ映画か?』と思わせる部分も少なくなくないのも事実。この頃、流行った『カンフー映画』の要素を取り入れたり、どう見てもお笑いにしか見えない相撲も登場したりします。また、前作『死ぬのは奴らだ』に登場したアメリカ人のペッパー保安官(クエリフトン・ジェームズ)と偶然『バンコク』で再会する等、無理な展開が“てんこ盛り”!

それに『香港』から他の地へ移動した様子が全く無いのに、いつの間にか映像は『バンコク』になっていると言う凄い展開で、ボケ〜と見ていると置いて行かれます。(笑)

最も気を付けなければイケない部分は、どう考えても、ストーリー的に『香港』在住だと思っていた『ハイ・ファット』と言う悪役が出て来るのですが、『ボンド』はミスして彼に囚われてしまいます。そして、空手道場で無理やり空手家達と対戦をさせられます。
が、ソコは007!いつものとおり、“寸で”のトコで、その道場から逃げ出すのですが・・・その逃げ出した外はどう見ても『タイ!』(笑)そのままボートに乗り込んで、『プーケット』近郊の川でボートチェイスをすると言う凄い内容です。

『えっ!さっきまで香港だったじゃん!』『いつタイに移動したの?』等と思っていると、ますます置いていかれますよ。

このシーンを見るポイントは、ボートチェイスの途中で、現地の少年がゾウの木彫りの人形を『ボンド』に売りに来るシーンがあるのですが、この少年が『100バーツ(タイの通貨)で買ってよ・・・』とか言っているので、ココで初めて『あ〜舞台はタイに移ってっているんだ』と分かる次第・・・
う〜む・・・自分でつかまなきゃイケない映画だ。

 ここで少々、この映画を含めた007シリーズについてふれておきます。『黄金銃を持つ男』が上映されたのは1974年。シリーズ九作目になります。『ロジャー・ムーア』としては前作『死ぬのは奴らだ』に続き、二度目のボンド役になります。少々脱線しますが、彼(ロジャー・ムーア)で『ジェームス・ボンド』は三代目になります。007シリーズの第一作『007ドクターノオ』(1962年上映)から第五作の『007は二度死ぬ』(1967年上映)までは、ご存知、世界一セクシーな男『ショーン・コネリー』が演じていますね。

実は俳優として『ジェームス・ボンド』と言う固定イメージが付いてしまう事を嫌い『ショーン・コネリー』は第五作でこのハマリ役を降板してしまいます。

次に抜擢されたのが『ジョージ・レーゼンビー』と言う新人(当時)の役者さん。彼は第六作目の『女王陛下の007』(1969年上映)にボンド役で出演しましたが、前作までの『ショーン・コネリー』の強烈なイメージも手伝い、この映画は各方面から大不評・・・
続く第七作目の『ダイヤモンドは永遠に』(1971年上映)でボンドマニアの熱い声に答える形で『ショーン・コネリー』が異例のカンバック出演。

でも、このカンバックは一作品のみで、第八作目の『死ぬのは奴らだ』から『三代目ジェームス・ボンド』として『ロジャー・ムーア』が出演したと言う、複雑(?)な経緯で今回ご紹介するシリーズ第九作目『黄金銃を持つ男』に続く訳です。

あらら・・・簡単に説明するつもりが、
結構“オタク”な話になってしまいましたね(苦笑)肝心の映画『黄金銃を持つ男』のロケの場所については次のページでお話しましょう。

この場所も自然が造り出したモノ。ロングテールボートがようやく通る事が出来るだけの、海上トンネルです。気の利く“船頭”さんはわざわざこの自然のトンネルを通ってくれました。『うわゎ〜こわゎ〜』と思いながらも、実はもの凄く嬉しかったります。旅先では子供になりますね。

               つづく→

ロングテールボートの全容です。この辺りの湾内では定番の船のようです。同型の船とすれ違う事もしばしば・・・
で、気が付いた事がひとつ。他のロングテールボートに乗っている観光客はみんなライフジャケットを着ているのに、何故か?僕はライフジャケットを着せてもらえませでした。コレには少々凹みました・・・



彼が『黄金銃を持つ男』のヒール『スカラマンガ』です。
ご存知、名優中の名優『クリストファー・リー』が名演?
僕的にはこの映画での彼の存在は“宝の持ち腐れ”・・・
でも彼が出演していなかったら、もうこの映画には救いが無い?と言っても過言では無いでしょう(苦笑)
彼は何でも演じる事で有名なスーパーアクターですが、年配の方には『ドラキュラ』のハマリ役でもお馴染みだと思います。
キバを付けて、青白いメイクをしたら『あ〜!この顔見た事ある!』と言う人も多いハズ。そう、彼は『ドラキュラ』のイメージを世に知らしめた方でも有ります。
数多くの名作に出演していますので、今さら説明の余地はありませんが、印象に強いのが1990年の『グレムリン2』、最近では2004年の『クリムゾンリバー2』や2005年の『スター・ウォーズ エピソード3』にも出演しています。もっとも僕的にどの映画で見ても『スカラマンガ』だったりします(笑)。
あまりカンケー無いかも?しれませんが、私生活では七ヶ国語を自在に話す凄い人でもあります。
ちなみにこの『スカラマンガ』、映画の中では乳首が三個もあると言う役柄ですが、どう考えてもストーリと乳首の関係がイマイチ理解出来ないのは僕だけでしょうか?



ご覧のとおり、ロングテールボートの真横はすぐに水面です。その為、波しぶきをまともに受けたりします。途中エンジンの調子が悪くなり、海の真ん中で停止・・・運良くすぐに復旧しましたが、大海原で“エンコしてる他のロングテールボートにも遭遇!まぁ、このテのトラブルは日常のようですよ(苦笑)。ちなみにエンジンの音はもの凄くやかましく、エキパイの破れたVESPAの比では無いです。なにせ会話が出来ない位ですから・・・



途中、海上生活をしている場所がありした。海の上のイスラム教のモスクが素敵です。
結構、有名な場所で『旗の島』と呼ばれている人口建造島だそうです。中には学校もあるそうですよ。



『バンガー湾』内には数々の奇岩がありますが、その中でもこの奇岩は『横綱格』です(笑)。真横から見ると魚が口を開けているように見えます。とてもキャッチー!
勿論、人工的なモノでは無く、自然が造り出した芸術です。